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日本の暮らしに根ざした人工関節を、「世界基準」にしていきたいですね。
これからの目標
床に座った状態からスクッと立ち上がれる。いつの日か、そんなヒザ人工関節の製品化を実現したいですね。
新機軸となるヒザ人工関節の開発に参画。
肩からヒジ、股関節、ヒザに至るまで、現在では身体のさまざまな部分に人工関節が用いられています。そのなかで、私はヒザ人工関節の手術を専門に手がけています。体重が大きくのしかかるヒザの関節軟骨は加齢とともにすり減り、そうすると骨どうしがじかに接するようになり、痛みが発生します。人工関節は摩耗した関節軟骨の役割を担い、痛みをとりのぞき、以前と同じ快適な歩行を取り戻すためのものです。
人工関節が日本で使用されるようになったのは1980年代のことで、その歴史はまだ20数年しかありません。しかし、最近では日本人の暮らしに根ざした人工関節がアメリカでも使われるようになり、その開発に実は私も深く関わっているのです。
畳の暮らしならではの「曲がる」人工関節。
人工関節は元来、欧米人のために生み出されたものでした。そのためヒザが曲がる角度は、イスに座るのに必要な角度があれば充分と考えられていたのです。ところが畳中心の日本の暮らしでは座るときなどに、どうしてもヒザを深く曲げることが多くあり、使っているうちに痛みなどの不都合が生じます。事実、私が手術をした患者さまにもそのような方が多くいらっしゃいました。そこでアメリカの技術者やメーカーとの間で共同開発がはじまり、深く曲げても不都合のない人工関節の製品化を実現させたのです。
近ごろではアメリカでも、ヒザがより曲がったほうがいいという考えが広がりはじめており、この人工関節が好評をもって迎え入れられています。
「力強い」人工関節で暮らしをもっと快適に。
このようによく曲がるようになったヒザ人工関節ですが、しかし誰がつけてもよく曲がるというワケではありません。一般的に人工関節の性能を最大に引き出すのは手術者の腕といわれています。少し手前みそになりますが、私が手術をした患者さんにはヒザがよく曲がる方が多く、手術の見学に内外から医師や研究者の方がお越しくださるほどです。そんな私が、次に考えているのが「力強い」人工関節です。これは床に座った状態から何の支えもなく、スクッと立ち上がれるというものです。まだまだ研究段階ですが、実用化されれば患者さんの暮らしがもっと便利で楽しくなるのでは、と大いに期待しています。
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